マイホームの買い替えは売却を先行する

「新居」に浮かれて大損しないための鉄則

今の住まいを売却して別の新しい物件に買い替えようという人にとって、今程買い替えに適している時期はありません。問題は不動産相場全体が下がり基調だったため、バブル期に購入した人は自宅物件を売ったときの売却損が出てしまう可能性があるということだけです。

買い替えなら景気の悪いときの方がかえってチャンス!?

意外に思われるかもしれませんが、基本的に不動産の買い替えというのは、景気のいいときよりも、現在のように市場が低迷して全体相場が落ち込んでいるときの方がうまくいきます。

ところが一般的には「買い替えるなら、景気が最も上向いていて自宅物件の売却価格が高く、ローン残債が相対的に軽く、売却益が大きく出る時期が最適なんだ」と思い込まれています。しかしながら、このような先入観を抱いている人は「自宅の売却価格が低いときには購入物件価格も低く、自宅の売却価格が高いときには購入物件価格も低く、自宅の売却価格が高いときには購入物件価格も高い」という当たり前のことを見落としています。景気のいい時期(有働サン相場が高い時期)には、たとえ売却益がでたとしてもその売却益が買い替え先の物件の価格上昇分に当てられてしまうため、案外、思い通りの買い替えができないものです。

また、不動産というのは自分の手の届くときに買っておく(あるいは、手の届く時にさらに大きな物件に買い替えておく)というのが鉄則です。

様々な事情で、取り合えず今の時点では売却のみを考えているという方でも、将来的な買い替えということも想定し、できるだけ早い段階で次の買い替え物件に移り住めるような方向で考えておいていただきたいと思います。

そして、「思い通りに買い替えができなかった」「買い替えで手こずった」というケースの主な理由は、前の自宅物件の売却が思い通りに逝かなかったことに起因しています。「売却さえスムーズにいっていれば、後は何の問題もなく買い替えることができたのに」と悔しい思いをされた方も数多いことでしょう。このような方たちは「なぜ売却で失敗してしまったのか?」ということに気付かないまま買い替えに望んでしまったのだといえます。

買い替え購入を行う上では、先ず自宅物件の売却をうまく行うことが最初のハードルになります。そうした買い替え希望者がどのようにしたら上手く売却を成功させ、納得のいく買い替え購入を実現することができるのか、いかにその方法・ノウハウは、全て盛り込まれています。買い替え希望者はまず、本書の内容を熟知した上で買い替えに望んでください。

買い替えの場合、購入と売却、どちらを優先すべきか

売主の中には、様々な理由で自宅の売却を予定されている方がいます。

買い替えで不動産を売却しようとする場合には、購入と売却のどちらを先にすればいいのか、ということが問題になってきます。

もし買い替えを予定している場合は必ず売却を優先させて考えてください。買い替えに関する基本的な姿勢は「買い替えの鉄則は売り先行」だということです。

買い替え希望者は今の家が思い通りの値段で売れるということを前提にして購入の資金計画をたててしまうことがあります。

しかし、不動産業者の査定通りに家が売れるなどという保証はどこにもありません。売却がスムーズに逝かない限り、望み通りの買い替えをすることはできません。買い替えに絡む不動産売買のトラブルの原因は「今の自宅が思い通りの値段で売れなかった」ということに起因するケースが非常におおいです。

いまの自宅物件の売却によって生ずる資金を、次の買い替え物件の購入資金に充てようとしているのであれば、まずは売却のメドが立ってからでないと取り返しがつかないことにもなりかねません。

新築物件を扱っている業者などがよく使う手ですが、買い替え希望者に対して自宅の売却価格に関しては適当な査定をして売りに出させ、先に購入物件を売りつけてしまうという手口があります。まず、自宅の査定を実際の相場より高い金額を提示して、買い替え意欲を煽り、今の自宅が売れるより先に買い替え先の物件の契約を済ませてしまいます。しかし、売りに出した自宅は、意図的に相場より高く査定されたものですから、簡単には売れません。売主としては、先に新居物件を勝手しまった以上、自宅が売れないことには資金繰りがおぼつきませんから売り焦ることになります。するといつまでも売れない状況に困っている売主に対し、不動産業者は自宅の売り出し価格の大幅値下げを提示してくるか、頃合いを見て安い値段で買い取ってしまうことになります。

本来であれば購入と売却が同時になるのが理想ですが、現実にはうまくきません。原則的に売却を優先する気持ちで望んだ方が失敗は少ないのです。