売却の契約方式はどうする?

仲介業者を競合させる一般媒介で有利に売却する

媒介方式でオススメは一般媒介方式です。
一見、専任あるいは専属専任が有利なように思う人がいます。しかし、そう考える人は不動産業界をよく把握していない場合が多いです。

不動産業者は専任あるいは専属専任を勧めてきます。これは業者側での利益確保が目的なのです。不動産業者が受けとる報酬は「成功報酬」が原則となっています。つまり、実際に契約を決め、売却を実現しないことには売主に仲介料の請求ができません。

そこで専任あるいは専属専任で契約を結んでおけば、売却の仲介依頼は自社のみになるので、少なくとも売主から受け取る仲介手数料は確保できるという見通しがつくのです。たとえ買主を自社で見つけられずに他の業者からの紹介客で契約がまとまったとしても、自社が「元付け業者」であれば、少なくとも売主側の片手分の仲介手数料はもらえるということなのです。

専任あるいは専属専任よりも一般媒介のほうが、売主にとって有利なのか?

不動産業者は「宣伝広告、チラシの配布量などで、一般媒介よりも多くの宣伝広告活動をします」といってきます。しかし、実際のところ、一般媒介だからといって不利になることはありません。情報誌への掲載による集客力には限界があるのです。よほど価格的に魅力のある物件でない以上は、広告媒体に大量に載せたところで、購入希望者からの反響はたかが知れているのです。新聞の折り込み広告や情報誌に掲載されている物件の場合、相場と比較してよほど安い物件でない限り、購入希望の問合せなどまずありません。

専任媒介の場合、不動産業者はレインズ(不動産流通機構)へ物件情報を登録する義務があります。業者はレインズへの登録を強調した営業トークをしてくることがあります。
しかしながら、レインズは現実にはそれほど有用なものではありません。20万件もの物件が登録されている中から、購入客が物件を探そうと思ったら、よほど割安な物件でない以上は検索しても気にも止めません。

一般媒介の強みは業者の競合と情報量

一般媒介方式が一般の売主にとって有用かつ実際に役立つ方式なのかは次の3点です。

  • 自宅の馬脚のネットの広さを自分の意思で決めることができる
  • 業者感での競争原理が働く(結果、業者・営業マンの売却活動も熱心)
  • 仲介依頼した全ての不動産業者に「売り」の仲介手数料を受け取るチャンスが与えられるため、それだけ多くの不動産業者が契約成立に向けての努力をするようになる

これらは全て、専任(あるいは専属専任)媒介にはない、一般媒介のメリットです。物件の価値は、担当した業者・営業マンのやる気次第で決まってしまう面があります。営業マンが「この物件を高く、早く売りたい」と考えれば、実際にその物件は高く、早く売れるものです。優秀な営業マンなら、相場以上の値段で売りさばくことができます。

営業マンのやる気を喚起させるためにも、一般媒介にして、自分が依頼した各不動産業者に仲介の報酬を受け取るチャンスを与えることです。専任あるいは専属専任で売りに出すということは、自分が仲介依頼した特定の1業者のみに「売り」の手数料報酬を受け取るチャンスを与えるだけであり、他の業者に対して「売り」の仲介料を受け取るチャンスを与えていないことになるのです。

他にも一般媒介のメリットとして「売主が現実の正確な価格動向をつかみやすい」という点が挙げられます。
専任あるいは専属専任で売りに出してしまうと、どうしても入ってくる情報が偏りがちになってしまいます。たとえば相場よりも低い価格を教え込まれてしまうことなどもあります。