専門商社業界の概要

原材料や加工品、製品の輸出入、仲介売買という基本的な機能は総合商社と変わらないが、総合商社があらゆる商品を扱う”デパート”のような存在であるのに対し、専門商社は原則として一つの事業分野に特化した”専門店”のようなもの。事業規模は総合商社に比べると遥かに小さい。例えば、総合商社最大手の三菱商事の売上高は19兆2334億円(2010年度、以下同)だが、専門商社の代表格であるメタルワンと三菱食品の売上高は、それぞれ2兆5235億円、1兆8383億円と10分の1前後の規模しかない。

業界の動向

金融危機の影響で2009年の日本の輸出は急減したが、新興国をはじめとする海外の景気回復とともに、2010年の輸出額は67.4兆円まで戻し、輸出を主力とする専門商社の業績にもプラスに作用した。ただ、世界経済の回復をけん引してきた中国やインドなど新興国の経済成長にやや息切れ感が出ており、2011年度の専門商社の業績には不透明感が漂っている。一方で、東日本大震災の復興需要は、鉄鋼や建材などを供給する専門商社の増収に貢献する可能性も。業務内容や取り扱い品目によって暗雲が分かれそうだ。