業界の特徴

  • 大手4社が最高益更新
  • 資源高は一服したが、エネルギーは収益の柱に

総合商社業界の概要

もともと総合商社は原料・加工品などの輸出入かや仲介売買を担っていたが、現在は自社で開発・製造から物流・販売まで一貫して行う業態に変化を遂げている。事業領域や取り扱い品目は多岐にわたり、たとえば自動車産業では、鉄鋼会社や部品メーカーに対する原材料供給、自動車メーカーへの自動車部品供給のほか、自動車の販売そのものにも進出している。このほか、総合商社の主要な事業分野としては石油・天然ガス、金属、機械、化学品、食品、繊維があり、近年は数少ない成長分野である環境ビジネスに積極的に取り組む商社も多い。

業界の動向

石油・天然ガスや鉄鋼・非鉄金属の取引がおもな収益源であることから、総合商社の業績は商品相場に影響されやすい。2010年度は、鉄鋼価格や原油価格が上昇した結果、5大商社とよばれる三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事はいずれも大幅増益となった。三井物産と三菱商事がロシア、サハリン沖の天然ガス開発に共同出資するなど、各社は海外のエネルギー権益の獲得に力を入れており、東日本大震災の影響で、火力発電燃料であるLNG(液化天然ガス)の需要増が期待できるのは追い風と言えそうだ。