出版・書店業界の転職事情

雑誌は過去最大の落ち込みで1兆円割れ

業界の特徴

  • 大日本・凸版の囲い込み競争が続く
  • 書店や取次も電子書籍に参入。出版デジタル機構が設立

出版・書店業界の概要

出版社は、書籍や雑誌などを企画・編集・印刷・製本し、書店などを通じて販売するビジネス。出版物の販売収入と、出版物に掲載される広告の掲載料収入をおもな収益源としている。一方、書店は、出版社から取次会社を通じて委託された書籍を販売し、その売上げの一部を利益とする。一定の期間内であれば、売れ残った書籍を出版社に返品できる「再販委託制度」が採用されているため、原則、売れ行きが悪かった場合のリスクは出版社が負う。「活字離れ」やメディアの多様化とともに、書籍、雑誌の売上げは減少傾向にある。

業界の動向

書籍、雑誌の売上げは2009年に2兆円を割り込んだ。出版科学研究所によれば、2010年はヒット作が少なかったこともあって、前年比3.1%減の1兆8748億円まで縮小した。この傾向は今後も続くと予想されることから、出版各社は電子書籍の販売などによる新たな収益の確保や、返本率を減らすため責任販売制(卸値を下げるかわりに書店が返本できなくする制度)の導入などの改革を進めている。アメリカでは2011年4月、アマゾンの電子書籍の売上げが紙の書籍を上回っており、日本もいずれは同様の状況になる可能性がある。