業界の特徴

  • 東レが過去最高益、他社引き離す。他社も成長分野で追う
  • 炭素繊維など高付加価値品の販売回復

繊維業界の概要

衣料などに用いられる汎用繊維には、綿などを原料とする天然繊維と、石油を原料とするナイロンやポリエステルなどの化学繊維がある。日本では戦後から高度経済成長期にかけて、繊維が主要な輸出品目のひとつとして外貨獲得に貢献したが、1980年代以降、人件費の安い中国から安価な繊維製品が大量に輸入されるようになった。そのため日本の繊維メーカーは、汎用繊維の生産拠点を中国など海外に移転させる一方、国内では付加価値の高い炭素繊維、アラミド繊維などの高機能繊維に生産をシフトしてきた。

業界の動向

化学繊維の国内生産料は減少傾向が続き、ナイロンやポリエステルでは2009年までの10年間に生産量が半分以下に落ち込んだ。炭素繊維、アラミド繊維などの高機能繊維も、08年以降の世界不況の影響で一時減産を余儀なくされた。しかし中国をはじめとする新興国での自動車販売の増加、航空機需要の拡大とともに、それらの素材として用いられる高機能繊維の出荷は安定的に伸びることが期待されている。一方で、国内の消費低迷によるアパレル需要の不振、原油価格の高騰による原材料高はマイナス要因だ。