業界の特徴

  • 北越紀州製紙が大王製紙の筆頭株主に
  • 12年は五輪特需があるが、長期では低迷。海外需要取り込み課題

紙・パルプ業界の概要

製紙会社は、木材(パルプ)や古紙を原料としてさまざまな紙・板紙を生産している。紙は新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙などに分類され、板紙には段ボール原紙や紙器用板紙などがある。もっとも生産割合の大きい印刷・情報用紙は、雑誌やチラシなどに用いられるため、景気動向によって需要が大きく変化する。近年はインターネットの普及によりさまざまな分野で「ペーパーレス化」が進んでおり、人口減少による市場縮小も相まって紙の需要は横ばい、または減少傾向となっている。

業界の動向

経済産業省の調べによれば、2010年度の製紙パルプの生産量は5.9%増の941万トン、紙・板紙生産量は同1.7%増の273万トン。2008年リーマンショックからの景気回復とともに増加した。しかし、東日本大震災で日本製紙の主力向上が被災したことなどにより新聞用紙や印刷・情報用紙の出荷額が激減。震災後には雑誌広告やチラシなどを自粛する動きも広がり、紙生産の減少に追い打ちをかけた。さらに、商品相場の高騰による原料高も、収益圧迫原因として製紙会社に重くのしかかっており、製品価格に転嫁する動きも出ている。