業界の特徴

  • 原料価格の騰勢で世界的な収益悪化の傾向
  • 中国での「作りすぎ」リスクが顕在化

鉄鋼業界の概要

鉄鋼会社は、使用する設備によって高炉メーカーと電炉メーカーに分かれる。高炉メーカーは鉄鉱石から銑鉄を取り出す高炉を用い、製品の生産までを一貫して行う。電炉メーカーは原料の鉄スクラップを電気炉で融解させ、新たな製品に加工する。高炉メーカーは2000年以降、高炉廃止などにより過剰な生産能力を縮小し、原材料価格の変動に応じて顧客との間で製品価格を調整する仕組みを確立した。しかし鉄鉱石や石炭など原材料の価格は高騰しており、各社の業績に悪影響を及ぼしている。

業界の動向

2010年の粗鋼生産量は前年比25.2%増の1億960万トンで、リーマンショック後の大幅減から回復した。東日本大震災の復興にともなう需要が期待できそうだが、「エコカー減税」終了後の自動車販売は落ち込んでおり、鉄鋼需要に影を落としている。海外に目を向ければ、中国の粗鋼生産量は6億トンを超える勢いで伸びており、韓国最大手ポスコも生産能力を増強するなど、国際競争は激しさを増している。そうしたなか、国内最大手の新日本製鐵と同3位の住友金属鉱業が合併する。今後は規模の拡大とともに生産拠点の海外移転が加速するだろう。